外国語教育(初等・中等教育)
以前は、初等・中等教育における外国語教育は英語教育と相場が決まっていた。日本教職員組合が、初等教育からの英語教育を闘争目標に掲げようとしたことがあるが、「なぜ英語なのか。むしろ隣国の言語である韓国語を教えるべきではないのか」と異論が出され、流産した。
しかし、文部科学省は、2001年以降英語教育の強化方針を打ち出しており、2002年度以降、「総合的な学習の時間」の中で試験的に英語教育を行う小学校が増えているほか、2003年4月には群馬県太田市が「太田市外国語(英語)教育特区」として認定を受けた。これをうけさらに2005年度からは「小学校英語活動地域サポート事業」を開始し、選定した小学校での英語教育の取り組みを支援している。2006年3月27日、中央教育審議会外国語専門部会が小学校における英語教育の必修化に言及した審議状況報告をまとめ、マスコミで大きく報道された。こうした英語の早期教育方針に対しては、「早期からの多言語教育は母語習得に干渉するため、どちらの言語能力も十全に発達しないばかりか、統合された人格の形成に悪影響を与える」「英語を唯一の国際言語と見なす英語帝国主義を助長する」「教員の確保など、教育現場が混乱する」などの批判がある。
他方、英語以外の外国語教育を実施している初等・中等教育機関は多くない。一部の私立学校や高等学校が中国語、韓国語を開講している程度である。これらの言語は大学入試センター試験において選択可能であるが、英語以外の言語を採用する大学は多いとは言いがたい。なお、長崎県対馬市での韓国語教育、北海道根室市・稚内市でのロシア語教育など、近年では地域性を考慮したカリキュラムを設定するところも増えつつある。
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